MIRRとIRR:どちらを使うべき?

🔑 ポイント

  • IRRは中間キャッシュフローをIRR自体の利率で再投資すると仮定—非現実的に高いことが多い。
  • MIRR(修正内部収益率)は、より現実的な再投資利率(通常は資本コスト)を使用。
  • MIRRは通常IRRより低いが、より達成可能で正直なリターン像を提供。
  • 両方を使う:業界比較にはIRR、内部意思決定にはMIRR。

プロジェクトで28%というIRRを計算しました。祈杯を上げる時間?ちょっと待ってください。この数字は、中間キャッシュフローの1円1円が28%で再投資されることを前提としています—実際にはまず起こりません。

そこで登場するのがMIRR(修正内部収益率)。より保守的で現実的な再投資の仮定を使うことで、IRRの最大の弱点を補います。

再投資利率の問題

標準的なIRRには、ベテラン投資家でも見落としがちな落とし穴があります:

⚠️ IRRの仮定:IRRは暗黙的に、すべての中間キャッシュフロー(配当、賃料、部分的な売却)がプロジェクト終了までIRRの利率で再投資されると仮定しています。

プロジェクトのIRRが25%の場合、2年目に受け取った1,000万円を残りの期間25%で運用できると仮定しています。本当にいつでも25%の機会を見つけられますか?おそらく無理でしょう。

MIRRとIRRの比較表

特徴 IRR MIRR
再投資の仮定 IRR自体の利率 資本コスト
現実性 過大評価になりがち より保守的/現実的
複数IRR問題 非従来型CFで発生可能 常に単一の結果
Excel関数 =IRR(値) =MIRR(値, 資金調達率, 再投資率)

実例:プライベートエクイティ投資

典型的なPEファンド投資を考えてみましょう:

キャッシュフロー
0年目 −1,000万円
1年目 +500万円
2年目 +500万円
3年目 +500万円

従来のIRR

23.4%

23.4%での再投資を仮定

MIRR(8%再投資)

17.5%

より達成可能な目標

この5.9ポイントの差は無視できません。IRRだけに頼ると、リターンを25%も過大評価しかねません。

ExcelでのMIRR計算方法

計算式はシンプルです:

=MIRR(B2:B4, 8%, 8%)

意味:

  • B2:B4 = キャッシュフローの範囲(0年目〜3年目)
  • 最初の8% = 資金調達率(借入コスト)
  • 2番目の8% = 再投資率(現金で得られるリターン)

規模の問題:IRRはサイズを無視する

IRRもMIRRも共通の盲点があります:プロジェクト規模を完全に無視すること。

プロジェクトA

50% IRR

100万円投資 → 150万円

NPV:50万円

プロジェクトB

15% IRR

1億円投資 → 1億1,500万円

NPV:1,500万円

IRRだけ見ると、プロジェクトAは3倍良く見えます。でも実際にどちらがあなたを豊かにするでしょうか?プロジェクトBは30倍の価値を追加します。

結論:どちらを使うべき?

🎯 おすすめ

IRRとMIRRの両方を計算:

  • IRRは外部コミュニケーションとベンチマークに使用
  • MIRRは内部意思決定と現実的な期待値設定に使用
  • 両者の差が大きい(5%超)場合、IRRに疑問を持つ

どの指標をいつ使うか—そして両方を超えて見るべき時を知る—ことが、カジュアルな投資家と本格的な投資家を分けるポイントです。

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